才能がある子より「あとで強くなる子」に共通する5つの特徴

ちびっ子レスリング

小学生の大会に行くと、会場に入って5分で分かる子がいます。

体が一回り大きくて、動きが速くて、試合が始まった瞬間に決まる。まわりの親御さんが「あの子、すごいね」と言い合っている、あの子です。

うちの子とは違うな。そう思って帰る日があると思います。

でも、その子が6年後も一番強いかというと、そうとは限りません。むしろ私が20年見てきた範囲では、中学や高校で上に行くのは、小学生のときに会場でざわつかれていなかった子のほうが多いです。

今日は、その「あとから来る子」に共通していた特徴を5つ書きます。性格の話ではありません。練習と試合で、実際に目に見えるものだけを挙げます。

先に断っておくと、早く強い子も強いままです

誤解されると困るので、最初に書いておきます。

小学生で強い子を、「どうせ後で抜かれる」と思って見ているわけではありません。早く強くなった子が、そのまま伸び続けることもあります。

ただ、小学生年代の勝敗は、体の成熟の早さでかなり決まります。同じ6年生でも、体ができあがるのが二年違えば、それはもう別の競技と言っていいくらい差があります。

だから、今の順位表は「才能の順位」ではありません。そこを踏まえたうえで、以下を読んでください。

特徴1:勝てないのに、負け方がきれい

一番分かりやすいのがこれです。

スコアは0対8。でもマットの上での形が崩れていない。組み手を切られていないし、倒されても背中をマットつけていない。「点は取られたけど、やることはやっている」負け方をする子がいます。

反対に、体格で勝っている子は、雑な形でも勝ててしまいます。頭から突っ込んでも、腕力で引っぱっても、相手が倒れる。勝てるがゆえに、形を直す理由がありません。

これが数年後に効いてきます。体格差が消えたとき、正しい形を持っている子だけが残ります。

年長ぐらいまでは、基本的に力で押し切れば勝てます。

特徴2:一度負けた相手を、覚えている

練習を見ていると、はっきり分かれます。

自分が勝てる相手とばかり組む子と、この前やられた相手のところへ、自分から行く子。

練習中、小さい子が自分より大きい子のところへ自分から組みにいく場面

後者は、そのとき勝てません。また同じように投げられます。それでも次の週も行きます。

これは根性の話ではなく、「勝つ練習」ではなく「強くなる練習」を選べているということです。負ける時間を自分で選べる子は、伸び幅がまるで違います。

個人的に、ドMの負けず嫌いの子は強くなります。

私は練習中、誰が誰と組んでいるかを見ています。技より、そこを見ています。

特徴3:体が小さい時期が長い

これは本人の努力ではありません。それでも、はっきり傾向があります。

体が小さいうちは、力で押し切れません。だから、足を使うか、角度をずらすか、タイミングを取るしかない。その時期が長いほど、技術が体に染み込みます。

そして中学生になって体ができてくると、技術の上にパワーが乗ります。この順番の子が、一番強くなります。

逆の順番、つまり先にパワーがついた子は、あとから技術を足すことになります。これがなかなか難しい。「勝ててしまった記憶」が、形を直す邪魔をするからです。

早生まれのお子さん、いま体が小さいお子さん。今の時期は、不利であると同時に、仕込みの時間でもあります。

特徴4:試合より、練習のほうが強い

「うちの子、練習ではできるのに、試合になると何もできなくて」

これも、本当によく聞きます。がっかりして言われるのですが、私はこれを悪い兆候だと思っていません。

練習でできているなら、技術はもう入っています。出せないのは、場慣れと度胸の問題です。そして場慣れと度胸は、あとから必ず追いつきます。時間が解決する部分です。

本当に困るのは逆のほうです。練習では手を抜いていて、試合の日だけ気合いと体力で勝つ子。この子には、あとで足す中身が残っていません。

だから「練習だけの子」と言われている子を、私はまったく心配していません。

特徴5:自分の負けを、言葉で説明できる

最後がこれです。試合が終わったあと、こう聞きます。

「今の、どうやられた?」

「負けた」「わからん」で終わる子と、「最初のタックルのとき、手が離れた」と言える子がいます。

試合直後、しゃがんだコーチに身振り手振りで説明している小学生

後者は、次の練習で直せます。自分で気づいている場所は、コーチが同じことを言ったときに入り方が違います。

これは低学年でもできる子はできます。逆に、6年生でも「わからん」で終わる子もいます。そしてこの差が、中学以降でものすごく開きます。

家でもできることがあるとすれば、ここだと思います。責める聞き方ではなく、事実だけを聞いてあげてください。

「どこで決まっちゃった?」

これで十分です。

なぜ「あとで」なのか

5つ並べて気づかれたかもしれませんが、どれも小学生の試合結果には出ません。

負け方がきれいでも、負けは負けです。強い相手に挑んでも、その日は負けます。体が小さいのはそのままです。

だから、この子たちは小学生のあいだ、ずっと評価されません。表彰台にも乗らないし、会場でざわつかれることもない。

けれど、体ができてきた瞬間に、順番が入れ替わります。私はそれを何度も見てきました。何度もです。

まとめ:今の順位表は、6年後の順位表ではありません

もう一度だけ並べます。

  • 勝てないのに、負け方がきれい
  • 一度負けた相手を覚えていて、自分から挑む
  • 体が小さい時期が長い
  • 試合より練習のほうが強い
  • 自分の負けを、言葉で説明できる

このどれかが当てはまるなら、そのお子さんは今、表に出ない場所で積み上げています。

小学生の大会でざわつかれる子を見て、うらやましく思う日があると思います。それでいいと思います。ただ、帰り道の車の中で、勝ち負けの話だけで終わらせないでください。

いい練習をしていれば、結果は出ます。

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