20年以上ちびっこレスリングを見てきて、最後に強くなっていく子には、ある性格の組み合わせがあると思っています。
負けず嫌いで、しかもドM。
ふざけているように聞こえるかもしれません。でも、けっこう本気です。
昔、このブログに一行だけ書いたことがあります。負けず嫌いは強くなる。ドMは練習で追い込めるから強い。そのときは短く書いて終わりにしてしまいました。
今日は、それをちゃんと書きます。なぜ片方だけではダメで、両方そろうと強いのか。そして、大人が気をつけないといけないことも書きます。
負けず嫌いは、強くなる子が多い
まず、負けず嫌いの話からです。
レスリングは、勝ち負けがはっきりつく競技です。そして、負けて悔しいと思わなければ、どうすれば勝てるか、どう練習すればいいかを考えなくなります。
悔しさは、エンジンです。
負けた試合のあと、何度もあの場面を思い出す。あそこで手が離れた。あそこで下がった。そう考え続ける子は、次の練習で自分から直しにいきます。
逆に、負けても平気な子は、練習でも何となく同じことを繰り返します。本人は真面目にやっていても、直す場所が見えていないんです。
でも、負けず嫌いだけだと折れる
ただ、負けず嫌いには弱点があります。
悔しさが強すぎると、それに耐えられなくなる子がいます。
- 負けると泣いて、練習に来なくなる
- 負けた理由を、審判や相手のせいにする
- 勝てる相手としか組まなくなる
- しんどい練習を嫌がる(負けるのが嫌だから、負ける場面を避ける)
最後のものが一番やっかいです。負けず嫌いなのに、負けるかもしれない練習から逃げる。これでは、悔しさがエンジンになりません。
悔しい気持ちは強いのに、そのあと何をすればいいかに向かわない。負けず嫌いだけでは、ここで止まる子が多いです。
「ドM」とは、しんどいことを面白がれること
ここで、もう一つの性格の出番です。
ドMと言うと聞こえが悪いですが、私が言っているのは、しんどいことを、どこか面白がれる性格のことです。

- 息が上がるまで動いて、なぜか笑っている
- 強い相手に何度も転がされて、「もう一回」と言う
- きつい補強のあとに「明日もやろう」と言い出す
こういう子は、練習の量そのものが違ってきます。追い込むことを、苦痛ではなく手ごたえとして受け取れるからです。
体が壊れない範囲でしっかり練習することは、結果を出すうえでやっぱり大事です。そして、それを自分から選べる子は強い。
ドMだけだと、伸び方がゆるい
ただ、ドMにも弱点があります。
しんどいのは平気。練習も休まない。でも、勝つことにあまりこだわらない子がいます。
負けても「楽しかった」で終わる。それ自体は悪いことではありません。ただ、どこを直せば勝てるかを考える理由がないので、練習量のわりに伸び方がゆるやかになります。
がんばっているのに、強くなる角度がずれている。そういう状態です。
両方そろうと、悔しさを練習に変えられる
ここで、二つがそろった子の話です。
負けて悔しい。だから、しんどい練習を自分から選ぶ。そしてまた挑む。
負けず嫌いが「何を直すか」を決めて、ドMが「直すための練習」に耐えさせる。エンジンとブレーキではなく、エンジンが二つ付いている状態です。
こういう子は、強い相手から逃げません。むしろ、自分を負かした相手のところに、次の練習で自分から組みにいきます。負けるのは分かっている。でも悔しいから行く。そしてしんどいのが嫌いじゃないから、何度でも行けます。
これが、私の言う「最強」です。才能が一番ある子のことではありません。負けから一番多くを持って帰れる子のことです。
大人が、子どもを「ドM」にさせてはいけない
ここは、一番伝えたいところです。
ドMというのは、本人が自分で選ぶから意味があります。
大人が「追い込め」「もっとやれ」と無理にやらせても、それは子どもを強くしません。体を壊すか、レスリングを嫌いになるか、どちらかです。
特に小学生は、まだ体ができていません。しんどさを楽しめる子ほど、自分で止まれないことがあります。そこを見て止めるのが、大人の仕事です。

- 痛みを我慢させない
- 疲れている日は、量を減らす
- 「もう一回」と言っても、限度を決めておく
ドMを伸ばすというのは、しんどいことを楽しめる気持ちを、壊さないように見守ることだと思っています。
親ができること
最後に、家でできることを書きます。
一つ目。悔しがっているのを、急いで止めない。
負けて泣いている子に、すぐ「泣かないの」と言いたくなります。でも、その悔しさがエンジンです。落ち着くまで待ってあげてください。
二つ目。しんどい練習を「がんばったね」より、「自分で選んだね」で褒める。
量をこなしたことより、きつい方を自分から選んだことを認めると、子どもはまた選びます。
三つ目。止めるのは大人の役目と決めておく。
楽しんでいるように見えても、体のサインは大人が見る。ここだけは子どもに任せないでください。
まとめ
- 負けず嫌いは強くなる。悔しさが「どうすれば勝てるか」を考えさせる
- ただし、負けず嫌いだけだと、負ける場面から逃げて止まりやすい
- ドMは、しんどいことを面白がれる力。練習の量が変わる
- ただし、ドMだけだと、勝つための角度がずれやすい
- 両方そろうと、悔しさをしんどい練習に変えて、また挑める
- ドMは本人が選ぶもの。止めるのは大人の仕事
負けて悔しくて泣いて、それでも次の練習で「もう一回」と言う子。
そういう子を見かけたら、少し誇らしく思ってあげてください。その子はたぶん、あとで強くなります。


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